赤ちゃんの国籍をかんがえる

日本で、お父さん・お母さんが外国籍である赤ちゃんが生まれる、との相談があった場合、父母の国籍・在留資格が重要です。 日本で生まれたら、親が外国籍であっても、日本人だろう、という考えの方もいらして、ついその発想に驚いてしまうのですが、実際、そういう国もあるのです。 

国籍とは、人が特定の国の構成員であるための資格で、どういう方がその国の国民として認めるかについては、それぞれの国が自ら決定することができます。日本人、の定義は日本の国籍法で定められています。日本では、出生のときに、父母のどちらかが日本人であれば日本国籍となります。結婚していない男女の間のお子さんについては、母が日本人であるときは、日本国政となりますが、母が外国籍であり、父が日本人である場合には、「胎児認知」をしておくか、または、「生後認知」による「国籍取得の届出」をしなければ、子は日本国籍とはなりません。

上記以外の場合で、日本国籍を希望する場合には、「帰化」によることとなります。 

 

赤ちゃんが生まれるときは、親の国籍から、どの国籍になるかを検討します。日本は生地主義ではないので、日本で生まれたからといって、外国籍父母の子に対して、日本の国籍は付与されません。両親の国籍が違う場合もあります。その国の法律をみて、海外居住の外国人の子が、日本で生まれた場合に、どういう手続きをすれば国籍を取得できるのか?を調べてください。

 

たとえば、両親がペルー人だからといって、ペルー国籍は推定されますが、期限内に適切届出をしなければ、ペルー国はその子がペルー国籍者とはみなしません。これは後の身分関係に重要な問題を及ぼします。

また、パラグアイ国籍の父母から生まれた子についても、日本で生まれた場合、当初は無国籍となるケースをみかけます。当初は、と書いたのは、後に、パラグアイに帰国後、国籍取得の手続きの方法があるとのことです。

日本で暮らす外国人は情報が入りにくいと思います。

でも、親には、国のルールにもよりますが、きちんと法定期限内にすべき義務があるのです。 

 


赤ちゃんの在留資格(VISA)をかんがえる

国籍と並行して検討すべきは、日本で暮らすのであれば、在留資格(VISA)です。

両親が就労系の在留資格であれば家族滞在、身分系であれば定住者。永住者の子であれば、取得永住も可能性があります。

 

昨年関与した事案で、留学生が赤ちゃんを産んだ場合、子が「家族滞在」をもらえないとされたことがありました。

 母が日本語学校の学生「留学」の場合、子に「家族滞在」の在留資格が認められないことがあるのです。一般の方が入管にそんなことを言われたとしたら、まず、この子は不法滞在のまま生きていくことになるのか、と思うはずです。そしてそのまま住民サービスも受けられず、保険証もない・・・。赤ちゃんを育てていくことをあきらめるかもしれません。


日本に住むつもりであるなら、赤ちゃんの在留資格については、出生から30日以内の手続きが必要です。生まれたときに出生届を区役所等に出したときに、住民票が作成され、保険証も付与されます。これは、60日以内に在留資格取得をするまでは、経過滞在者として取り扱われるもので、法定期限内に在留資格を取得しなければ、住民票から消除されてしまいます。もちろん、保険証も資格喪失し回収されることとなり、予防接種など公費接種が受けられなくなり、住民サービスを享受できなくなってしまいます。

出生届を出した時に、区役所から、在留資格の必要性について案内がなされるかは定かではありませんが、、産後30日以内に必要書類をそろえて、入国管理局に赤ちゃんの在留資格についてて手続きをしなければならない、ということは、とても厳しいものと思いますが、やっておかないと赤ちゃんが不法滞在になって、住民票から消されてしまいます。

 

救済として、3か月くらいして、気が付いた場合、入管に出頭申告をして、資格該当性があるかどうか審査を受けるという方法もあります。(まず、日本に滞在する条件にあてはまっているか、がとても重要です。)